韓国では「ウェルビン」ブームで、納豆が意外な人気

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意外な人気 yumehana-iStock

 

■韓国では、ウェルビーイングの略語である「ウェルビン」が流行語になり、健康食品として納豆が意外な人気に

 

韓国で納豆の売上が急増している。2006年に25億ウォンだった韓国の納豆市場は2014年に100億ウォンを突破し、2017年には325億ウォンに成長した。

 

 

■長寿国日本の秘訣が話題に

 

納豆は日本留学生や日本旅行を楽しむマニアの間で健康食として知られていたが、2006年3月に米国の健康専門誌「ヘルス」が世界の5大健康食品の一つに取り上げたのをきっかけに食品大手のプルムウォンが製造を開始している。

 

かつては粘る食品を好まない韓国人に合わせた商品を開発したこともあったが、売上が伸びずに、キムチ納豆など生産を中止した製品もあった。足踏み状態が続いていた納豆の売上が増加に転じたのは、2011年からだ。

 

少子高齢化が社会問題化すると同時に長寿国日本の秘訣が話題になり、納豆は腸の健康を助け、免疫力を高める健康食として注目されるようになる。ウェルビーイングの略語である「ウェルビン」が流行語になり、スーパーやデパートがウェルビンコーナーを設けるなど、健康食への意識が高まったことも追い風になった(韓国経済新聞)。

 

血栓溶かす納豆ビビンバ

 

プルムウォンのCM

 

 

■伝統的な家庭料理の清麹醤よりも臭いが少ない...

 

納豆は韓国では伝統的な家庭料理の清麹醤(チョングクチャン)と対比されることが多い。大豆と藁を発酵させ、粗くつぶして丸い形に整形し煮込んで食べる料理で、製法も食感も納豆に近い。

 

当初は健康を気にする50代から60代をターゲットにしていたプルムウォンは、黒豆を使った納豆に続いて、ゆず納豆や黒酢納豆など幅広い層をターゲットにした商品を開発した。清麹醤は調理の際に強烈な臭いを発する。納豆は清麹醤より臭いが少なく、そのまま食べることができる。清麹醤の臭いを好まない世代や1人世帯に広がり、2018年にはより若い層にアピールするため、「わさび国産大豆生納豆」を発売した。

 

スーパーで売られている納豆は8個入り1万ウォン前後で、日本からの輸入品の方が安い。大手スーパーEマートは2015年に納豆の売上が清麹醤と並ぶとタカノフーズの納豆を輸入してプルムワンより3割ほど安い価格で販売を開始した。清麹醤と納豆の売上げ合計を100としたとき、2016年には清麹醤32.7に対して、納豆は67.3と2倍近くに達した。

 

 

■乳酸菌好きでヤクルトも人気

 

健康食ブームと1人飯の増加に加えて、韓国独自の料理に似ていることも消費の拡大に繋がった要因だ。外国の食品は韓国ではマニアの間で広がる程度だが、大豆を使った食品や発酵食品は日常的に食されており、外国料理を食べなれない人にも抵抗は小さい。

 

韓国では日常的に豆腐料理を食し、夏バテ防止にコングクスが食されている。コングクスは豆乳スープを使った夏季限定の麺料理で、韓国の夏の風物詩にもなっている定番料理である。

 

乳酸菌を多く含むキムチやマッコリを好む韓国ではヤクルトも人気が高い。1969年に合弁で創業した韓国ヤクルトは2017年に売上が1兆ウォンを突破した。店頭販売は行わず、韓国全土で1万3000人のヤクルトアジュンマ(ヤクルトおばさん)が路上販売を行なっている(ソウル経済)。

 

女性の職業が限られていた1970年代、ヤクルトの販売員は人気の職業となったが、勤務時間が短い仕事で子育て中の主婦など希望者は多く、2013年時点で1万3000人の女性が販売に従事している。2014年からは電動カートによる移動販売を行なっており、最寄りのヤクルトアジュンマを探すアプリも登場した。スーパーにはヨーグルトという模倣品も並ぶ人気商品となっている。

 

納豆もヤクルトも外国食品だが、「ウェルビン」ブームに加えて、伝統的な食品と同じような味と成分をもつことが人々の心を捉えているのだ。

 

 

文:佐々木和義

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