プリウス124万9662台、ボクスター2601台…「リコール」と「改善対策」はどう違うのか

車・交通

 

 

少し前の話になるけれど、昨年買った愛車シトロエンC4カクタスに、リコールの案内が届いた。ボンネットのストライカー(ロック)をサポートする部分の形状が不適切なため、走行中の空気抵抗や車体振動により亀裂が入る可能性があり、そのまま使用を続けるとサポート部分が壊れ、ボンネットのロックができなくなり、最悪の場合走行中にボンネットが開いてしまうおそれがあるとのことだった。

 

対策としては、ボンネットストライカーのサポートを確認し、損傷がある場合はボンネットを対策品と交換し、損傷がない場合は補強プレートを装着するというものだった。幸いにして筆者のC4カクタスは走行中に開いたりはせず、損傷も確認できなかったので補強の装着だけで済んだ。クルマをディーラーに預け、近所に出掛けている間に作業は終了した。

 

自動車のリコールについては、内容がすべて国土交通省のウェブサイトで公開されている。それによれば、C4カクタスは輸入台数が少なく、今回のリコール対象も2016年11月から翌年8月にかけて輸入された648台に留まったので、現場が混乱したりはしなかったのではないかと想像できる。

 

しかし世の中には大規模なリコールもある。記憶に新しいのは今月初め、トヨタ自動車が2009〜14年にかけて生産したプリウスとプリウスα、およびプリウスαをダイハツ工業にOEM供給したメビウスを対象としたもので、なんと124万9662台にもなった。

 

C4カクタスの場合は日本国内での不具合や事故の件数はゼロで、本国フランスからの情報でリコールが行われたのに対し、プリウスなどのリコールは事故はなかったものの不具合件数の報告が3件あり、市場からの情報でリコールに至ったと国交省の資料には記してある。

 

 

■ボクスターはタバコのポイ捨てに対応!?

 

ところで国交省のウェブサイトを見ると、「リコール・改善対策の届出」と記してある。つまりリコールのほかに改善対策という事例もある。

 

たとえばポルシェが今月実施した改善対策は、2016年から今年にかけて輸入された718ボクスターおよびケイマン、合計2601台について、後輪直前にあるエアインテーク(空気吸入口)に保護ネット等の装備がないため、走行中に運転席などからタバコなどを投げ捨てた場合エアインテークに吸い込まれ、内部にたまった枯葉などの異物が発煙するおそれがあるとのこと。対策としては、エアインテーク部を清掃し、保護グリルを取り付けるというものだった。

 

両者は何が違うのか。簡単に言えば、道路運送車両の保安基準に関係しているかどうかだ。リコールを放置しておくと車検に通らなくなるが、改善対策は放置していても車検は通る。ただし放置しておくと最悪の場合、事故につながる可能性がある点は両者に共通している。

 

このほかサービスキャンペーンというものもある。こちらは不具合が原因で事故が起こったりする可能性はないものの、ユーザーが不快な思いをするかもしれない状態について修理をするものだ。改善対策同様、放置しても車検には通る。

 

過去にはリコールを行うべき状況にあったにもかかわらずメーカーが対策をせず、それが原因で死亡事故が発生したりするという、いわゆるリコール隠しもあった。この場合は刑事事件の対象となり、罰金が課せられるなどした。いち早くリコールを行なっていれば、このような事態には発展しなかったはずだ。不具合を自ら申告することはメーカーにとって恥ずべき行為だと思っている人がいるかもしれない。しかし筆者はリコールは仕方がないものだと考えている。

 

メーカーはユーザーの使用状況を想定して設計を行うものの、ユーザーの使い方はそれこそ千差万別であり、予測していなかった事態も起きうる。それに筆者を含めて人間はミスをする。その人間が作る製品にミスがあるのは当然と言えるのではないだろうか。

 

もちろんミスは少ないに越したことはないけれど、クルマは安全が第一。メーカーは不具合が見つかったらいち早く報告をしていただきたいし、ユーザーはリコールを受け入れる寛容性を持ってほしいものだ。

オーサーの個人サイト

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モビリティジャーナリスト

森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担...

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