ただただ、自分の“スキル”を試したかった男【昏いものを抱えた人たち】

人間関係

ノンフィクションライター亀山早苗は、多くの「昏(くら)いものを抱えた人」に出会ってきた。自分では如何ともしがたい力に抗うため、世の中に折り合いをつけていくため彼らが選んだ行動とは……。今回は、指使いだけで女性を悦ばせることに命がけになっている男の日常。彼もまた、「変わった性癖」の持ち主なのだろう。

 

 

とあるハプバーで、自分の指だけで女性をイカせる男性がいると聞き、話をしてみたことがある。ショウタさん(32歳)は、自ら「無類の女好き」だと言った。だがセックスをするのは好きではないのだそう。


「女性がイクときの顔が好きなんです。だからセックスしなくても、女性が感じてくれればそれでいい。僕、もともとピアノをやっていて指にはちょっとだけ自信があって」


そう話す彼はかなりのイケメン。黙っていてもモテるだろうに。


「話し下手だし、モテないんですよ。でも女性をイカせたい。だからここでこうやっているのかもしれません」


なんとはなしに彼の近くに女性が寄っていく。いつしか彼の手が女性の下半身に。それだけで女性はうっとりしていく場面を何度も見かけた。

 

 


■ここがないと痴漢になっていたかもしれない…

 

 

あるとき、彼の指使いで下半身をがくがくさせて感じている女性を見かけた。


「挿入するよりずっと気持ちいい」


彼女は息も絶え絶えそう言っていた。


「女性がイッてくれると僕自身の達成感もある。なんだかこの社会で生きていていいんだなという気持ちになるんです」


大学卒業後、就職するもそこで人間関係につまずいた。退職し、アルバイトをしてもまたうまくいかない。そんなことが続いて、ようやく親戚が経営する会社で落ち着いた。


「社会不適合者なんですよね。どこにも僕の居場所はない気がして。つきあうことになった女性がいても、僕はセックスに没頭できなくて、結局、ふられてしまう。そんなとき友人に誘われてここへ来たら、僕にもできることがあった。というか、これが僕の望むセックスだった。そんな感じ」


そこで女性をさんざんイカせ、帰宅するとマスターベーションをする。そうするとまた1週間、なんとか働けるのだという。白くて細く、繊細そうな彼の指が、そのまま彼の性格を物語っているようだ。


「ここがなかったら、下手したら痴漢になっていたかもしれませんね」


彼は最後にぽつりとそうつぶやいた。
 

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ノンフィクションライター

亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

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