電気自動車レース「フォーミュラE」に日産が参戦する理由

車・交通

 

専用の電気自動車でレースを行うフォーミュラEのシーズン5(2018/2019)が12月15日、サウジアラビアの首都、リヤド近郊のディルイーヤで開幕した。シーズン5は世界5大陸、12の都市の市街地コースで13戦が予定されている。全11チーム22名のドライバーがタイトルを争う。


シーズン5は大きな変更点がいくつもある。まずマシンが新型になった。フォーミュラEは参戦全チームが共通のマシンで戦うが、第2世代を意味する「Gen2(ジェン・ツー)」と呼ぶマシンはシーズン4までのGen1に比べ、はるかに未来的なルックスになった。F1でおなじみの頭部保護装置、ハロが装着されたのも特徴だ。


Gen2の最大の特徴は、バッテリー容量(正確には、モーターに供給できるエネルギー量)がほぼ倍増したことだ。Gen1がモーターに供給できるエネルギー量は28kWhだったが、Gen2がモーターに供給できるのは54kWh(52kWhと発表しているチームもある)だ。エネルギー量の関係から、シーズン4まではレースの途中で充電済みのマシンに乗り換える必要があった。乗り換えシーンはフォーミュラEの名物(?)でもあったのだが、シーズン5では乗り換える必要がなくなり、スタートからフィニッシュまで1台のマシンで走りきるようになった。


この変更に合わせてレースのフォーマットが変わった。これまではコースの全長に応じて周回数を設定していたが、シーズン5からはコースの全長に関係なく、「45分+1周」で争うタイムレースになっている。

 

 

 

■ファンに支持された者だけが「ブースト」できる

 

 


モーターの出力が増えたので、走行シーンの迫力が増した。Gen1が搭載するモーターの最高出力は200kWだったが、Gen2では250kWになった。最高速は225km/hから280km/hに向上。0-100km/hのタイムは3.0秒から2.8秒に短縮されている。ただし、最高出力を発生できるのはGen1と変わらずフリープラクティスと予選だけだ。シーズン4のレース中の最高出力は180kWで、シーズン5では200kWになった。


SNSなどを通じたファン投票によって上位のドライバーにブーストの権利を与える「ファンブースト」は、シーズン5でも引き継がれた。さらに、シーズン5からは「アタックモード」が追加された。コースの一部に設定されたアクティベイションゾーンを通過すると、アタックモードを選択することができ、4分間にわたって225kWの最高出力で走ることができる(レース中に2回使用可能)。マリオカートにあてはめて表現すれば、キノコのようなパワーアップアイテムと同様の効果だ。


アタックモードを選択するには、壁際に一定の間隔で引かれた白線2本をきっちり通過する必要があるのだが、白線の通過が不十分だとパワーモードが使えない。キノコを取り損なったようなもので、パワーアップするつもりが失速し、追い上げていたマシンとの差が広がってしまうという、思わず手を叩いて笑ってしまうような出来事が開幕戦で実際にあった。


アタックモードを使用中はハロに埋め込まれたLEDがブルー(シアン)に点滅し、現地で観戦している観客にもひと目でわかる仕組み。ファンブーストが与えられるドライバーはふたり増え、シーズン5から人気上位5名のドライバーに与えられることになった。このファンブースト使用時(5秒間225kWにパワーアップ)は、ハロのLEDがレッド(マゼンタ)に点滅する。

 

 

■日産とBMWが新規参戦。初レースで初優勝!

 

 

参戦チームやドライバーの顔ぶれもずいぶん変わった。日本人にとって最大のニュースは、日産の参戦だろう。「電気自動車で世界トップセールスを記録する日産が、フォーミュラEに参戦しないわけにはいかない」という意気込みでの参戦だ。


シーズン4まではアライアンスパートナーのルノーがフォーミュラEに参戦しており、日産はその体制を引き継いだ格好。ルノー時代には年間タイトルを獲得しており、実績は申し分ない。開幕戦ではS・ブエミ選手が6位、O・ローランド選手が7位に入ってダブル入賞を果たし、幸先のいいスタートを切った。日本人ドライバーの高星明誠選手がリザーブドライバー兼テストドライバーを務めている。


日産と同時に新規参戦したのがBMWだ。既存のアンドレッティとパートナーを組む格好でフォーミュラEに乗り込んできた。そのBMWをドライブするA・ダ・コスタ選手が開幕戦で優勝した。つまり、BMWは初レースで初優勝を遂げたことになる。2位はシーズン4のチャンピオンで、DSテチーターに乗るJ-E・ベルニュ選手、3位はマヒンドラのJ・ダンブロシオ選手だった。実力は拮抗しており、タイトルの行方は読みようがない。

 

 


シーズン6(2019/2020年)から参戦するメルセデスAMGの息が掛かったHWAはまったくの新規参戦チームで、F1のマクラーレンで2018年シーズンを走ったS・バンドーン選手を起用したのがニュース。DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)王者のG・パフェット選手とコンビを組む。


F1で11勝を挙げたF・マッサ選手はヴェンチュリー入りし、現役復帰を果たした。開幕戦では入賞圏内(10位以内)の8番手まで順位を上げたものの、エネルギー回生時に規定以上の出力を発生させた規則違反でドライブスルーペナルティを科され、その影響などが響いて17位でレースを終えた。


開幕戦はマッサ選手を含め、ドライバーもチームも、新しくなったレースのフォーマットになじめず、混乱していた印象。その混乱ぶりも新しいシーズンの魅力だろうか(ドタバタしすぎの感がなきにしもあらずだが)。

オーサーの個人サイト

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モータリングライター&エディター

世良耕太

モータリングライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1世界選手権やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『トヨタ ル・マン...

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