あなたの食べているカニやウナギがヤクザの資金源!? 裏経済と漁業の深くて濃い関係

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ふだんの暮らしのなかで、ヤクザと密接にかかわっているという実感をもっている人は、多くないかもしれない。だが、市場に出回る高級海産物の多くがヤクザの密漁によるもので、それが暴力団の資金源になっていると聞いたら、あなたはどう感じるだろうか。

 

そんな、日本の漁業とヤクザの関係を暴いたルポルタージュが『サカナとヤクザ』(鈴木智彦/小学館)だ。著者はヤクザ専門誌『実話時代BULL』(メディアボーイ)の編集長などを務めた、ヤクザ取材のいわばプロ。この本でも密漁団への突撃や築地の魚河岸への潜入など、体を張った取材で執拗かつ丹念にテーマを追っている。

 

 

■高級海産物の半数近くが、密漁ビジネスに相当する?

 

ヤクザが密漁で扱う高級海産物は、アワビ、カニ、「黒いダイヤ」ともいわれるナマコ、「白いダイヤ」ことシラスウナギ(ウナギの稚魚)など多岐におよぶ。本書によれば、たとえば日本で取引されているアワビの45%、およそ906トンが密漁アワビだというから驚きだ。つまり市場に流通しているアワビの約半分が密漁されたものであり、私たちがアワビを食べるとき2回に1回はヤクザに金を落としているということになる。その他の海産物も合わせれば、密漁ビジネスは年間100億円もの市場規模であるという。しかも、もし警察に捕まっても麻薬取引などより罪は軽いので、ヤクザにとってはおいしい商売なのだ。

 

もちろん、密漁ビジネスはヤクザだけでなりたっているわけではない。その手先となる漁師がいて、密漁品とわかっていて仕入れる水産業者がいて、さらにヤクザとの関係をわかりながら見逃している役所がある。そして、その密漁品は全国の中央卸売市場などで、当たり前のように売られているのだ。

 

 

■密漁ビジネスがなぜなくならないのか? 身近にあるその原因

 

なぜ、密漁が商売になるのか? かんたんにいえば、資源保護のため漁獲制限があるからだ。では、もし密漁を完全に取り締まったらどうなるのかというと、市場に出回る海産物は極端に減り、値段が跳ね上がる。要するに、気楽に食べられなくなってしまうのだ。言い換えれば、安い値段でおいしい海産物を食べようとする私たち消費者も、密漁ビジネスの「共犯者」といえる。

 

本書のなかでも、国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に指定されているニホンウナギが専門店、量販店、さらにはファストフード・チェーンでまで平気で提供されている現在の状況に著者は首をかしげている。結局は、「消費者がなにを望むか」しだいということだろう。高級海産物はあきらめる、密漁に目をつぶる、漁獲制限などやめてしまって食い尽くすまで獲る…。いずれも選択肢としてはあり得るだろう。

 

ところで、著者が取材のためにバイトとして潜入した築地魚河岸は、働く際に過去の経歴はいっさい問われず、身分証の提示も求められず、バイト代は手渡しなので銀行口座も要らなかったという。極端な話、指名手配犯だろうがホームレスだろうが、やる気と能力さえあれば誰でも働ける場所ということだろう。

 

そういう「ゆるさ」が密漁ビジネスの温床になっているのは事実であり、前近代的な空間ということもできるだろう。しかし、世の中がクリーンになりすぎて、こういったハミ出し者の受け皿が消滅するのが手放しにいいことだとは、個人的にだがあまり思えない――。

 

『サカナとヤクザ』(鈴木智彦/小学館)

 

文=奈落一騎/バーネット

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