活動休止を発表した「嵐」が会見で見せた強い責任感【今週の大人センテンス】

話題

 

巷には、今日も味わい深いセンテンスがあふれている。そんな中から、大人として着目したい「大人センテンス」をピックアップ。あの手この手で大人の教訓を読み取ってみよう。


第116回
全員が納得したからこその笑顔


僕たち嵐は2020年12月31日をもって、グループとしての活動を休止させていただくことになりましたby大野智(アイドルグループ「嵐」リーダー)

【センテンスの生い立ち】
1月27日夕方、ジャニーズの人気アイドルグループ「嵐」が、ファンクラブのサイトに衝撃の動画メッセージを公開。それは、2020年12月31日で嵐の活動を休止するというものだった。同じ日の夜、メンバー5人は記者会見を実施。まずはリーダーの大野智が上の言葉で口火を切り、活動休止に至った経緯やそれぞれの思いを丁寧に語った。2017年6月にリーダーの大野から申し出があり、1年にわたってメンバー間での話し合いや事務所との調整を重ねて、この結論に至ったという。


3つの大人ポイント
・誠実に考え抜いた様子が全員から伝わってきた
・相手を理解することの大切さを感じさせられた
・責任を果たそうとする強い決意が伝わってきた


日曜日の夕方、いきなりの衝撃発表がありました。人気アイドルグループ「嵐」が来年末で活動を休止するとのこと。前日の全豪オープンでの大坂なおみの歴史的快挙も、このニュースがなかったらもっと長いあいだ大きく報じられ続けていただろうし、発表直後に決まった大相撲の玉鷲の初優勝は一気に吹き飛ばされてしまいました。いや、本人たちに悪気はカケラもないし、ほかのニュースに影響がないタイミングなんてありませんけど。


ファンクラブサイト内にメンバーが動画をアップしたのが、午後5時。その3時間後の午後8時から、都内のジャニーズ事務所で5人そろっての会見が行なわれました。まずはリーダーである大野智が、上のように活動休止を報告して口火を切ります。


会見から伝わってきたのは、5人全員が納得する結論を出したいというそれぞれの強い意志と、自分たちの責任を果たそうとする真摯な姿勢。べつに「嵐」のファンというわけではないので、ことさらに美化したり持ち上げたりするつもりはありません。表に出ている情報がすべてとも思いません。ただ、会見の受け答えやお互いの掛け合いを見ていて、さすがトップアイドルを20年以上続けている人たちは違うなとうならずにはいられませんでした。


最年長で活動休止の言い出しっぺである大野智は、今38歳。ほかのメンバーも全員30代後半です。この先、永遠にアイドルを続けるわけには行きません。どこかで区切りなりシフトチェンジなりが必要という思いはあったでしょう。しかし、やり方を間違えると、せっかく今まで積み上げてきたものがなくなってしまいます。そして、ファンにとってショックなのはもちろんですけど、自分たちありきの経済活動に与える影響が大きすぎるだけに、それ相応の準備や時間が必要です。


また、やめたいという提案に対して、解散がいいのか、ひとりが抜けてグループは存続させるのがいいのか、それぞれ葛藤や迷いがあったでしょう。5人は徹底的に話し合うことで、みんなが納得できる結論として、ほぼ2年後を区切りに活動を休止するという道を選びました。その後のことは、本人たちもきっとまだわからないでしょう。再結成の可能性だって、それがどう受け止められるかは別として、けっしてゼロではありません。


彼らが迷ったり決断したりした様子は、アイドルでも何でもない同年代の男性、そして女性にとっても、けっして人ごとではないでしょう。話し合うことでメンバーの意見をすり合わせていった経緯も、きちんとケジメをつけた上で意思を通そうとしている姿勢も、大いに学ぶことができます。彼らの責任感の強さを見せつけられたのは、記者から「無責任という指摘もあると思う」という厳しい質問が出た場面。櫻井翔は、冷静にこう答えました。

 


「無責任かというご指摘に関しましては、我々からの誠意は2年近くかけて感謝の思いを伝えていく期間を設定した。これは我々の誠意です。それが届くように、これからもたくさんの言葉をお伝えし、たくさんのパフォーマンスを見てもらい、それをもって判断をしていただくことかと」


もちろん質問した記者は、活動休止を責める意図があったわけではなく、本人たちの口からきちんと説明する呼び水を向けたのでしょう。どうすれば責任を取れるのか、取ったことになるのか、それは誰にもわかりません。できるのは、全力を尽くすことだけ。そして、無責任かどうかを外野が判断することなんて、そもそもできません。一般論として、人のことを「無責任だ」と責め立てる行為こそが、もっとも無責任です。


また、「大野さんが悪者にされてしまう可能性もある。他のメンバーの方には区切りをつけたかったという気持ちは?」という質問に対して、二宮和也は「(区切りをつけたかったという気持ちは)僕はなかったです」と言いつつ、「リーダーのせいでこうなったということは同じくらいゼロです」と断言しました。これも、徹底的に話し合ったが故に出た言葉であり、公の場ではっきり言っておくのがファンに対する礼儀であり責任と言えるでしょう。


驚きの発表でしたが、よく考えたら、活動休止はまだけっこう先の話です。それまでもきっと、グループとして個人でも大いに活躍し、人気者としての役割を果たしてくれるはず。「2020年末でひと区切り」という期間限定感がトッピングされたことで、また新たな味わいが加わったかも。大ファンの人もそうでもない人も、それぞれのスタンスで楽しませてもらいましょう。誰もが知っている人気アイドルというのは、つくづくありがたい存在ですね。


【今週の大人の教訓】

自分の主張を通すためではなく、着地点を求めながらの話し合いは極めて有益である
 

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コラムニスト

石原壮一郎

1963年、三重県生まれ。コラムニスト。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。大人の新しい概念と可能性を知らしめ、以来、日本の大人シーンを牽引している。2004年に出版した『大人力検定』は...

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