なぜ日本の電車内はイライラするのか? ヨーロッパから見た5つの理由

ライフスタイル

 

混雑した電車内って、どうしてもイライラしがちですよね。でもその原因は何でしょう? 日本民営鉄道協会がまとめた2018年度の「駅と電車内の迷惑行為ランキング」では、「荷物の持ち方・置き方」、「騒々しい会話・はしゃぎまわり」、「座席の座り方」がトップ3。中でも「座席の座り方」は過去19年間、常に3位以内にランクインしており、「詰めて座らない」、「座りながら脚を伸ばす・組む」などが代表的な迷惑行為として回答されています。

 

混みあう車内でクジャクの羽よろしく両足を広げて着席したり、荷物を横において貴重な座席スペースを占拠する人、黄色い声を張り上げて会話に興じる人など、配慮に欠ける行為に眉をひそめた経験のある人も多いのではないでしょうか。

 

私自身も小学校から片道1時間以上の電車通学でしたし、都内に勤務していた際には首都圏のラッシュアワーでギュウギュウ揉まれていたので、車内に垂れ込める不穏な空気や迷惑行為は嫌と言うほど体験済みです。

 

ところがヨーロッパに移り住んでからは、このフラストレーションが激減。そこで、なぜヨーロッパでは車内のイライラが軽減されているのか、理由を検証してみました。

 

 

■原因1:座席が一人分ずつ独立している

 

ヨーロッパで公共交通機関の座席を観察していると、日本の新幹線や特急列車のような二人掛け(クロスシート)が主流です。

 

ヨーロッパの公共交通機関は二人掛けシートが主流 ©Wiener Linien

 

しかも、一席ずつが独立した椅子となっていることが多く、うっかり二座席間にまたがって座ると椅子と椅子の端が足に食い込んで不快な状況。特に座席同士が完璧に切り離されているデザインでは、小さな荷物を横に置くと、座席間から下にずり落ちてしまう可能性まであります。

 

一方の日本では、壁に沿って設えられた長椅子式の座席配置(ロングシート)を多く採用。これだと立てるスペースが増え、乗客の収容力は上がる反面、座席にはデッドスペースができがちですし、足を異様に広げたり、酔っ払いが寝転がってみたりと、乗客の苛立ち沸騰に貢献していそうです。

 

 

■原因2:座りたいと意思表示できるメンタリティ

 

先週、パリで鉄道に乗っていたときのこと。横の座席に荷物を置いていた人に「座るわよ」と宣言するなり、返答も待たずにお尻で荷物を押しのけ、座りこんだ女性を目撃しました。また、ヨーロッパではなく上海でのことですが、地下鉄内で私の横に空いていた僅か10㎝ほどの隙間にうら若い女性(しかもデート中!)がお尻を無理矢理ねじ込んできたこともありました。これらはさすがに無遠慮すぎるとしても、ヨーロッパの人は概して「座らせてください」と素直に意思表示する傾向にあります。

 

こうして比べると、やはり日本人は羞恥心がありすぎるのか、他人に空気を読むことを求めすぎているのか、はたまた日本全国を横行する「凶悪な逆切れ犯」の存在が「言いたいのに言えない」状況に拍車を掛けているのか……。この「はっきりと意思表示しない国民性」も車内のフラストレーションを確実にアップさせていそうです。

 

 

■原因3:通勤条件の違い

 

先ほど挙げたパリやロンドンのような大都市は例外としても、その他ヨーロッパの中小都市では、ラッシュアワー時でさえ日本のような殺人的混雑は稀です。乗車区間自体が短めなこともありますし、そもそも自家用車や自転車でマイペースに通勤する人も日本に比べると多い印象。

 

対する日本では、都会の人口密度が異常に高いうえ、ヨーロッパのようなフレックスタイム制のワーキングスタイルがさほど普及していないことも、ラッシュ時の混雑を加速させ、イライラを更に高める一因となっているのではないでしょうか。

 

 

■原因4:弱きを助けるキリスト教精神

 

私が渡欧してからは、女性だというだけで男性に席を譲られることも少なくありませんし、子供を産んだのちは尚更その確率が上がり、ベビーカーでの乗降を手伝ってもらえるのは毎度のことです。また白髪の老齢女性ですら、他の高齢者や体の不自由な乗客に慌てて席を譲るくらいですので、キリスト教由来の「弱きを助ける精神」が筋金入りなのでしょう。

 

一方の日本では、うっかり年配者に席を譲ると逆に気分を害されてしまったという逸話もよく聞きますし、長時間労働・長距離通勤する満身創痍のビジネスパーソンと高齢者・身体障碍者のどちらがより弱者なのか、判断に難しいケースもある様子。つまり日本では、「弱きを助ける」といったヨーロッパのような単純な構図が成り立たず、一筋縄では行かない状況も事態を紛糾させているのでは。

 

 

■原因5:騒々しさを敬遠するカルチャー

 

オーストリアやスイスで初めて長距離列車を利用した際に非常に驚かされたのが、列車が無言で発車すること。サイレンや発車メロディはもとより、「発車します」の一言すらないため、気を抜いていると余裕で乗り遅れます。静けさからくる心の平穏をこよなく愛するカルチャーがそうさせているのでしょう。

 

ところが日本に帰ると、絶え間なくけたたましく響くサイレンに無機質な発車音楽、スピーカーで声の割れた発車アナウンスなど、騒音に次ぐ騒音。否が応でも耳から入る雑多な情報にさらされ続け、心の休まる暇がありません。私も日本在住の頃はそんなものだと思っていましたが、ひとたびヨーロッパでの静けさに慣れてしまうと、やはりこれらのノイズが無意識のうちに精神を緊張させ、イライラを喚起しているのではないかと感じてしまいます。

 

こうして比べてみると、日本の電車内でのイライラの原因は一朝一夕に解決できるものではなさそうです。しかし、座席の切り離しや騒音の軽減など、できるところからでも少しずつ着手し、乗客の苛立ちが緩和されていくよう願っています。

 

※情報は2019年1月30日時点のものです

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ライジンガー 真樹

All About「オーストリア」ガイド、ダイアモンド社 地球の歩き方「ウィーン特派員」。 ウィーン移住をきっかけに、オーストリアの歴史・文化・グルメなどの魅力を日本の人々にも伝えたいと願い、CA乗務の傍ら旅行...

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