「バイトテロ」が横行する一方、「バイト社長」の会社が意外に多いのはなぜ?

ビジネス

 

菓子・食品製造大手の井村屋グループで、新社長に就任した中島伸子氏がアルバイト出身ということで話題になっています。調べてみると、一部上場の大企業にも、アルバイト出身の経営者や役員は意外に大勢いることがわかりました。

 

 

■あの有名企業の社長もアルバイト出身?

 

牛丼チェーンの吉野家では、前社長の安部修仁氏、現社長の河村泰貴氏と、2代続けてアルバイト出身者が社長を務めています。居酒屋・外食チェーンのワタミも、清水邦晃社長は学生アルバイト出身で、大学を中退して入社しています。モスバーガーの現会長である櫻田厚氏は、創業者の甥っ子だそうですが、会社にはアルバイトとして入社していて、その後創業者の死去に際して社長に就任しています。

 

すでに退任されていますが、旅行大手エイチ・アイ・エスの平林朗氏もアルバイト出身、中古本販売のブックオフの橋本真由美氏は主婦パート出身の社長でした。

 

上場企業や有名企業以外にも範囲を広げて見れば、さらに多くのアルバイト出身者が社長ほか企業のリーダーとして活躍しているでしょう。

 

 

■アルバイト社長に共通点はあるのか

 

アルバイトから社長になるような方々に何か共通した特性があるのではないかと思い、いろいろな方の経歴やご本人がお話しされている記事などを見ていましたが、その中身は本当に千差万別でした。

 

かなりのハードワークをこなしていた人も少なくないですが、それが絶対条件とはいえませんし、仕事をにやりがいを持っていたのは共通していますが、それはアルバイト出身社長に限ったことではありません。自分から社員になろうと考えた人が大半ですが、受けろと言われて受けた適性検査が実は社員登用試験で、いつの間にか社員になっていたという人もいました。

 

「“創業社長”や“カリスマ社長”から直接指導された人」という話もありましたが、必ずしもそうではなさそうですし、直接かかわったといっても、その程度がどれほどかは比較のしようもありません。学歴の話も、確かに高卒や有名大学出身でない人も大勢いますが、それも確定事項ではありません。

 

入社の経緯や社長になるまでの経緯は本当に様々で、人のキャリアを単純化してとらえようとしても、やはりそれは無理なようです。

 

ただ、いろいろ見ていて唯一見つけた共通のこと、それは「社員登用で入社したこと」です。制度の有無はともかく、「社員として働かないか」と声をかけられ、それをきっかけに入社しているということですつまりアルバイトとしての仕事ぶりが、一緒に働く社員なり上司から高く評価されたことを意味しています。

 

当然、採用基準は通常とは異なり、ほぼ100%がこれまでの自社での仕事の実績ですから、学歴や成績など一般的な採用試験で確認されるような要件はほとんど関係ありません。面接くらいはするかもしれませんが、合否を決めるような性質のものではないでしょうし、ある程度の期間でじっくり見極めた仕事実績ですから、入社してくれれば会社にとっては最も確実性がある即戦力となります。

 

 

■優秀な人材はどこにいる?

 

こんなところから、昨今の採用難の中で、アルバイトからの社員登用を積極的に増やそうという企業も出てきています。現状でアルバイトからの社員登用で入社する人は、特に学生アルバイトではまだごく少数のようですが……。

 

身近な学生の一部に話を聞いてみると、「一緒に働いている社員が大変そうで、将来的な魅力が感じられない」「そこでずっと働き続けるイメージが湧かない」などといいます。もしアルバイトの社員登用を進めたいのであれば、仕事の魅力の見せ方や感じさせ方など、会社としての工夫の余地はあるようです。

 

現実的には、ただでさえ少ないアルバイトからの社員登用で、さらに社長まで昇りつめる人というのは、相当“特別な人”と言えます。

 

それでも、社員登用という入口があったからこそ、その人材の中から社長を輩出することになったわけですから、優秀な人材がどこに潜んでいるかは本当にわかりません。人材を受け入れる“入口”の多様さは、これからはさらに必要になってくるのではないでしょうか。

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小笠原隆夫

IT業界出身で現場のシステムエンジニアの経験も持つ人事コンサルタントです。 人事課題を抱え、社内ノウハウだけでは不足してその解決が難しい企業、100名以下から1000名超の企業まで幅広く、人事制度構築、...

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