アスリートの精子は動きが違う!? 元気な精子を作り出すコツとは【男も知らない精液のヒミツ】

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男性にとって精液はフシギな存在です。人生と密接な関係があるはずなのに、なぜかタブー視され、他人と語ることも少ない──。近年そんな精液が、さまざまな情報を持った“宝”として注目を集めています。いち早く精液の重要性に気づき、研究を続ける株式会社ダンテの萩原代表が、精液にまつわるコラムをお届けします。

 

 

【Vol.03】いいカラダにはいい精子が!?

「アスリートの精子は動きがいい」というウワサ、聞いたことありませんか? 洋の東西を問わずアスリートは子だくさんの方が多いですし、身体能力の高さがそのまま精子の運動能力にも直結してそうな気もします。今回は「精子の動き」について掘り下げてみましょう。

 

 

■精子の動きを良くするためには?

 

ヒトの精子には頭部、中間部、しっぽの部分があって、半透明のオタマジャクシのような形をしています。そのしっぽを鞭のように動かして、受精のために卵子に向かって数十分から長いときには数時間かけて受精する場所である卵管まで泳いでいます。個人差や体調面でのぶれもありますが、1度の射精で放出される精子は数億個ともいわれております。ただし、その99%は子宮に到達する前に死滅しており、卵子の目前までたどり着ける精子はおよそ数十~数百個とも言われています。精子は女性の体内で72時間ほど生きることができ、その間に卵子を待っています。一方で卵子は排卵後24時間しか生きることができないため、精子と卵子が出会うためにはタイミングがとても大切です。

 

さて、精子が卵子までたどり着くためには前へ前へと進む運動性がとても重要ですが、どのような成分が精子をまっすぐ進ませるために重要なのでしょうか。その一つとして「クレアチン」という成分が大切なことが分かっています。

 

クレアチンはアミノ酸の一種で、大部分が筋肉や骨に存在しており、体内ではアルギニン・グリシン・メチオニンという食品由来のアミノ酸から合成されています。この成分はスポーツ選手にはなじみ深いものとなっており、筋トレを行う方はよく聞く成分ではないでしょうか。実際クレアチンは運動パフォーマンスを高め、疲労回復する働きがあると言われており、特に筋力や瞬発力など、筋肉が強く働くときのエネルギー源として利用されています。

 

ここまで聞くと「やはりアスリートの精子は動きが違うのか!」と思ってしまいますが、残念ながらそうではありません。アスリートの精液中クレアチンのデータがとれていないので、詳しいことはわかっていませんが、スポーツ選手は運動でクレアチンを消費してしまっていて、精液までは必ずしも到達していない可能性が高いのです。

 

 

■クレアチンを増やすには?

 

株式会社ダンテのこれまでの研究から、クレアチンをヒトの精液に添加することで、 精子の持久力・活動量が驚異的にUP することを明らかにしています。なんと精液中にクレアチンを添加するとまっすぐ動く精子の数が増えることがわかったのです。他にも動物実験で、体外受精時にクレアチンを添加することで、ごく少量の精子でも受精に成功することが報告されています。そのため、精液中のクレアチンを増やすことは、妊娠を望む夫婦にとってとても重要だと考えられます。

 

クレアチンを多く含む食材としては生魚や赤身肉が有名ですが、加熱すると6割以上が壊れてしまいます。そのため、クレアチンをたくさん摂取したい方は、お刺身やレアなど食べ方を工夫してみましょう。あまり魚やお肉を食べない方はクレアチンサプリメントを利用できます。ただし注意が必要で、過剰に摂取するとクレアチンの血中濃度が上がり、それを排出するために尿量が増え、尿を作り出す腎臓や体内の水分センサーになっている心臓に負荷がかかってしまうことがあるため、サプリメントは用量を守って活用していきましょう。

 

精子がまっすぐ動くためには、精液中に含まれているクレアチンが重要な働きを示していますが、まだまだ精液中には数多くの成分が含まれており、その大部分は役割が良くわかっておりません。今後研究が進むことで、受精に重要な精液中の成分が明らかになっていき、不妊治療の新しい治療法としてさらなる発展に貢献していくことができるかもしれません。

 

「アスリートの精子は動きがいい」というウワサはどうやら都市伝説のようですが、アスリートが意識的に摂取するクレアチンが、精子にも有益なことは確かなようです。クレアチンとうまく付き合うことで、「いい肉体」「いい精子」を意識していきたいですね。

 

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監修:横浜市立大学附属市民総合医療センター生殖医療センター泌尿器科助教 竹島 徹平 先生

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男未来研究所所長・精液エバンジェリスト

萩原啓太郎

1986年東京都生まれ。東京工業大学卒、理学博士。 学生時代は国立がん研究センターでがんを予防する食品に関する研究を行う。 その後、産業医科大学で助教として教鞭をとり、名大ベンチャーに入社。現在、広島大学...

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