ユーチューバーゆたぼん騒動から考える「子どもが学校を休む権利」

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出典:「少年革命家ゆたぼんチャンネル」より

10歳のユーチューバー「ゆたぼん」くんの活動と、巻き起こる批判について、岸田さんはどう考えますか?そう編集長から投げかけられ、この記事を書くことにしました。

 

沖縄在住の10歳の男の子が、子どもたちに人気のユーチューバーとして活動すること自体、何の問題もありません。批判に多くみられるのは、彼が「宿題をするのが嫌で学校に行かなくなった不登校児」だから。「自由をはき違えている」「親が学校に行かせず、子どもを広告塔に使っている」といったものです。

 

私はまず、ゆたぼんくんの動画やお父さんのブログをチェックするところから始めました。

 

 

■「宿題をやってこい!と先生に叩かれた」

 

ゆたぼんくんのお父さんのブログには、彼が不登校になる前後について、おおまかに次のように書かれていました。

 

1、2年年生の時は毎日楽しく登校していた。3年生の担任の先生が苦手なタイプだった。宿題についていけなくなり、みんなと同じように勉強や宿題をすることに疑問を持ち始めた。周りの子どもたちがロボットに見え始め、ゆたぼんは宿題をやらないと決めた。ある日泣きながら家に帰り、「宿題をやってこい!と先生に叩かれた」「もう学校に行きたくない」と訴えた。

 

学校側を取材していない以上、断定は避けたいと思います。でも、もし「体罰」が事実であるならば、不登校になるのも無理はないと思います。いじめや体罰など、学校に危険がある時は、休むことは命を守ることに直結することがあり、彼らには「休む権利」がある。多くの子どもたちの取材を通じて、そう実感しているからです。

 

ゆたぼんくんが「先生の体罰がきっかけで不登校になった」と広く伝わっていれば、世間からの批判もこれほどまでに高まることはなかったのではないでしょうか。その意味で、彼が注目されるきっかけとなった、ネット版の「琉球新報」の記事で、この「体罰」の一件が触れられていないのはなぜか、疑問が残ります。

 

 

■学校を休んだ、その後をどう過ごすか

 

子どもが不登校になるきっかけは、本当に様々です。周りの大人が「こんな理由で不登校になるのはおかしい」などと決めつけてしまうと、余計に学校に行けなくなってしまう、ということもあります。一方で、「先生が嫌」とか「宿題が嫌」というだけで休ませるわけにはいかない、という親心もあります。時には「なぜ宿題が必要なのか」「なぜ人は勉強するのか」を、子どもが理解できるまでじっくり話して聞かせることも必要です。

 

大切なのは、この子は何に困っているのだろう?とじっくり話を聴くことです。単純に面倒がっているだけなのか。それとも、先生や友だちの関係性や、集団教育に深刻な悩みがあるのか。見極めるカギは、親子の対話でしかありません。外部の専門家や医療機関のアドバイスが有効な時もありますが、一般の外野には判断のしようがないのです。

 

 

■不登校でも、学びの場はある

 

もちろん、親のエゴで学校から遠ざけることは言語道断です。教育基本法で定めているのは「子どもが学校に通う義務」ではなく、保護者が「子どもに教育を受けさせる義務」です。発達学的に見ても、小学生の時期は知的能力が飛躍的に伸びます。論理的に考える力や、社会性が育つ大切な時間でもあります。

 

学校という場所に限らず、フリースクールでも家庭学習でも良いのです。子どもたちが「困り事」から解放され、落ち着いて、その子のペースにあわせて学べる機会を守ることは、大人の責任でしょう。教育の機会を確保するための法律も制定され、自治体もフリースクールとの連携に乗り出しています。

 

不登校の子の数は全国で14万人を超え、中学ではほぼ1クラスに1人の割合です。子ども全体の数が減っているのに、不登校の子は過去最多更新が続いているのですから、学校の方に問題があるのでは、と見直す姿勢も必要です。

 

周りの大人にできることは、行かない子や親を批判することではなく、子どもたちが、その子らしく学べる環境をつくるため、自分の身近なところで、出来ることから関わろうとすることではないでしょうか。

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元 日本テレビ報道キャスター

岸田雪子

フリーキャスター・ジャーナリスト。早稲田大学法学部を卒業、東京大学大学院情報学環教育部修了後、1993年日本テレビ入社。報道局社会部記者、政治部記者を務めた後、ディレクターとして「真相報道バンキシャ!」「N...

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