「今年こそ安くなる?」「もう、食べられなくなる? 」夏の土用の丑の日目前、気になる今年の「うなぎ事情」とは

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うなぎの稚魚は昨年に続いて今年も大不漁に終わった。夏の土用丑の日(7月27日)が間近に迫る中、うなぎ商戦はいったいどうなるのか? 一方で先日、ニュースにもなっていた完全養殖うなぎの現状、今後は?

 

その前に今年5月、多くのメディアがこぞって取り上げた“元号変更”。30余年続いた『平成』から『令和』に変わり、新時代の幕開けとなった。記念すべき5月1日、日が変わる瞬間を祝おうと全国各地で賑わいを見せ、新聞各社も『令和』の幕開けを一面で大々的に報道。平成の時と異なり、その多くが祝賀ムードに包まれるものだった。 

 

すでに報道されているように「令和」という元号は日本最古の和歌集『万葉集』に収録される歌から引用、歌人・大伴旅人(おおともの・たびと)の邸宅で梅の花を愛でる宴の様子を表したものだ。

 

一般メディアの報道のほとんどはここで終わっているが、実はこの歌人・旅人とは、うなぎ業界で有名な歌『石麻呂に吾れもの申す 夏やせによしていふものぞ 鰻(むなぎ)とり食せ』(痩せた石麻呂に、ウナギでも食べたらどう?という意味)を詠った大伴家持(おおとものやかもち)の父であるのだ。

 

新時代の幕開けを喜びつつ、とくにうなぎ業界人からすれば、鰻と縁のあった『令和』という時代の幕開けへの喜びは感慨ひとしおだったのではないだろうか。

 

 

■うなぎは「絶滅危惧種」として食べられなくなるのか…

 

さて、話を戻そう。令和元年初の、夏の土用丑の日(7月27日)が間近に迫ってきた。

 

最近では、新聞、雑誌、テレビなど各メディアがうなぎの話題を取り上げる場面も増えてきたが、肝心要のうなぎ稚魚漁(シラスウナギ漁)は今年、残念ながら、昨年に続く大不漁に終わっている。

 

夏の土用丑、秋以降のうなぎの供給は大丈夫なの?といった声が聞かれるのは無論だが、それよりもうなぎ資源は本当にどうなっちゃうの?といった懸念の声も多い。

 

実際、資源を取り巻く状況としては、環境省、また世界的に権威あるIUCN(国際自然保護連合)がそれぞれのレッドリストに、絶滅危惧種として指定している。またワシントン条約(貿易を規制する条約)においても附属書掲載は今年、免れたものの、3年に1度行われる会議だけに予断を許さない。

 

また昨年は環境NGO団体が“絶滅危惧種ウナギの大量廃棄”として記者会見を行うなど、資源状態が不安定なニホンウナギへの風当たりは強い。

 

ただ、業界、水産庁も指をくわえて黙っているわけではない。天然うなぎの漁獲規制、シラスウナギ漁の日数縮減、シラス池入れ量の上限値設定(※編集部注:各地で採れたシラスは、問屋を介してうなぎ産地の養殖池に放される)、河川環境の整備、天然うなぎの買取り放流、ポスター活用による「下りうなぎ」(※編集部注:産卵のために海へ下るうなぎのこと)保護への呼びかけ、数々の働きかけを近年、行っているのである。

 

また研究面においてはつい先日、人工シラスウナギが民間養鰻業者によって成鰻にまで育てることに成功したことを多くのメディアが伝えた。もちろん、喜ばしい“新たな大切な一歩”ではあるが、それでは完全養殖うなぎの商業化はいったいいつになるのか。業界人はこうした一連のニュースが報道されるたびにもどかしい思いをするのである。

 

 

 

■完全養殖うなぎは救いの神となるのか

 

 

それでは今、どんな状況なのか、わかりやすい例を挙げてみる。

 

日本ではうなぎ稚魚が大不漁ながら、昨年、今年と約15トンの数量を主産地の各養殖場に池入れした。この15トンとは、匹数で換算すると実に約7500万匹に相当する。

 

片や人工うなぎ稚魚は現在の技術で何匹作られているのか?最新のデータによれば2018年で年間2484匹。

 

そう、2484匹。

 

7500万匹と2484匹、この差を見れば推して知るべしだろう。専門家も「ブレークスルーが何度か起きない限りは、完全養殖うなぎの商業化はまだ先だろう」といった声もある。

 

池波正太郎『男の作法』の「おこうこぐらいで酒飲んでね、焼き上がりをゆっくりと待つのがうまいわけですよ、うなぎが。」のように気長に商業化を待つのが良いのかもしれない。

 

ニホンウナギ資源を巡っては“天然うなぎをとるな!”“うなぎ稚魚をとるな!”“うなぎを食べすぎだ!”“土用丑の日をなくして”など、様々な意見が飛び交う。どの意見も正しいかもしれないし、一部間違っているのかもしれないが、現時点ではどれが正しくて、どれが間違っているか、はっきり説明することは難しい。

 

つまるところ、うなぎのように“つかみどころのない”問題が多いのが、うなぎ業界なのである。

 

令和元年初の土用丑の日を迎えるが、直近のうなぎの供給についてはとくに心配することはないだろう。いろいろ細かいことは考えず、うなぎが新元号『令和』に縁があることに思いを馳せながら、ただただ、ゆっくり焼きあがった“美味しいうなぎ”をじっくり、味わってほしいと思う。

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うなぎ専門紙・編集長

高嶋茂男

1974年、東京生まれ、A型、寅年、さそり座。成蹊大出身。うなぎの記事が大半を占める業界紙「日本養殖新聞」編集長。生産、流通、消費と川上から川下まで、うなぎに関連するあらゆるネタを記事にして発行。ツイッタ...

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